ドラマ「エルピス」は、久々の辛口の社会派ドラマです。

放映に当たっては、紆余曲折があったことは、ネットの記事で知りましたが、政権に忖度するマスコミへの批判が込められていて、やはり安倍元総理の事件があったからこそ、今のタイミングしかなかったのだと納得できます。

このドラマの主演の長澤まさみの抜擢は、成功だったと思います。東宝シンデレラガールとしてデビュー22年目の今年、知的で、美しさにも輝きが増してきました。

昔の恋人の斎藤の前で、長澤が苦悶と、斉藤への恋心を秘めて、斎藤の胸に無言で顔をうずめた場面は、胸を打つ演技でした。

コンビを組む岸本役の眞栄田の、茫洋としたキャラも謎のある過去を含んでいて、気になります。

そして、冤罪というテーマは今まで、ドラマでは扱われてきたテーマですが、実際に起きた事件を暗示しているのが、興味深いです。

事件当時のＤＮＡ鑑定技術の未熟さに起因する証拠能力の危うさと、真犯人を早く逮捕しなければいけないという警察の焦りが秘められていたようです。

しかも、後の死刑囚の再審請求によって、不都合な真実が暴露されるのを、隠蔽するがごとく、早急に死刑を執行してしまったのではないかと疑わせる事件です。

権力の分厚い壁と、長澤役の浅川が、どう戦うのか目が離せないです。